働き方(研究者)

    現場で働く研究者さんインタビュー#1「アステラス製薬」

    現場で働く研究者さんインタビュー第1弾
    アステラス製薬で有機合成の研究者として勤務する古谷さん(女性)にインタビューしました。

    白衣
    白衣
    白衣:当サイトの運営者
    古谷さん: アステラス製薬勤務。有機合成の研究者さん

    0. 勤務年数は? 年収は??

    白衣
    早速ですが、古谷さんの現在の勤務年数などについて教えていただけますか?

    古谷
    勤務先はアステラス製薬で研究者として勤務しています。
    勤務年数は現在4年目で29歳です。
    年収は600-800万円です。

    白衣
    ありがとうございます。新卒で就職されて4年目ということですね。ということは修士課程修了で就職されたということでしょうか?

    古谷
    そうです。ですので博士号はもっていません。
    そろそろ論博か国内留学で博士がほしいですね。

    1. 仕事内容について

    白衣
    出社してから帰るまでの1日の流れはどのようなものですか?

    古谷
    まず、合成部門で安全活動を行います。その日に行う反応などのインフォメーションを研究員みんなで共有して、その安全性を確認します。その後、合成実験に取り組み、データを収集します。

    得られた化合物を冷凍庫に保管し、翌日に行う反応などをチェックして、その合成計画を立てます。そのほかはミーティングで発表するスライドづくりやデータの整理などをメインワークして行うようにしています。

    また、今後の計画に関してはディスカッションなどを通じて決めていきます。

    白衣
    業務内容についてもう少し掘り下げて教えていただけますか?

    古谷
    メインは新薬の開発で、私は合成部門に所属しているので、目的化合物を効率的に短期間で合成する方法を立案します。

    合成に関してはなるべく安全なものを採用するようにしており、不純物として混入しやすい重金属類を採用した反応はなるべく避けるようにしています。

    1日に数反応進めることもありますが、基本的には1~2反応進めることが多いです。

    そのデータなどをまとめる時間が結構あり、データを共有するための時間も午後に設けられています。

    白衣
    1日1,2 反応のみでデータをまとめることに力を入れている点は研究室とは違いますね。

    続いて、仕事のやりがいや困ることについてお聞きしたいのですが、いかがでしょうか?

    古谷
    やはり、新薬開発に携わっていることが、仕事における全てのモチベーションにつながっています。

    わたしはもともと創薬研究をしたかったので、目的の仕事ができる部署に配属されて、日々高いマインドで仕事に取り組むことができています。

    新薬開発はほかの研究とは違ってかなりの期間を要する仕事です。ひとつの新薬を創り上げるのに10年もかかってしまうこともざらではないので、長期的なモチベーションの維持が課題となっています。

    新薬開発は国内においてはかなりの逆風状況で、なかなか満足の行く研究開発費が下りないこともあり、そのことがモチベーションにも影響することがありますが、研究員はみな初心を大切にすることでモチベーションを保っています。

    白衣
    やはり製薬会社はどこも厳しいのですね。国内とトップを争うアステラス製薬でも研究開発費に十分に満足できないというのは驚きです。

    2. 志望動機、御社の特徴・課題は?

    白衣
    なぜ御社を選ばれたのですか?
    また、なぜ今の職種を選ばれたのですか?

    古谷
    創薬研究においてかなりの研究開発費を投じている実績があったからです。

    創薬研究、特に新薬の研究開発は正直言って体力勝負なところがあります。短期間で新薬を合成できることはなかなかなく、やはり短期間でも7年以上かかってしまうものです。そうすると、ひとつのターゲットに投じる研究開発費は莫大な金額になります。

    ある程度、時間がかかることを前提に研究開発費を組むことが求められるので、会社としての母体が大きいことは、新薬の研究開発において大きなアドバンテージとなります。というよりも、このアドバンテージがないとなかなか厳しいものがあります。

    そういった理由で今の会社を選びました。この選択方法は今でも間違っていなかったと思っています。

    白衣
    それでは、御社の自慢できることや他社にない特長は何だと思われますか?

    古谷
    職場の風通しの良さだと思います。働き方改革にも製薬企業としてトップランナーとして活動している印象を受けます。

    製薬企業の研究員はブラックという印象を持たれている方も少なくないと思いますが、少なくても私が勤めている企業ではそのようなことはまったくありません。

    まず、研究者の特権として有給休暇をかんたんにとることができるという大きなメリットがあります。お客様を直接相手にするわけではないので、このようなメリットが発生します。

    白衣
    それでは御社が力を入れていることと課題について教えて下さい。

    古谷
    業務のスリム化です。

    現代では人工知能 (AI; Artificial Intelligence) を取り入れることによって、業務の効率化を図ろうとする試みが至るところで行われていますが、なかなか難しいのが現状です。

    今ある業務をプログラミングしようとしても不定期な業務もあり、そのところの兼ね合いが非常に難しいとされています。

    理屈では人工知能で業務が効率化されるのは分かるのですが、現実はなかなか思うように進まないようです。

    3. 職場の雰囲気は?

    白衣
    古谷さんが御社で働く理由は何ですか?

    古谷
    難病で苦しんでいる患者さんを化学の力で救いたいという一心で創薬研究に取り組んでいます。これがわたしのすべてのモチベーションです。

    ただ、働いているうちに感じてきたのは、わたしの夢や目標を叶えることができる業種はもっと幅広いのではないかということです。

    例えば、弊社の人事部だって、創薬研究をサポートする立場にあるわけで、広い意味では創薬研究をサポートしていることになるので、それはそれでモチベーションを保つことができると考えています。

    白衣
    働くようになってからこそわかることですね。薬学出身というだけで研究職とか開発職とかばかり考えてしまいますが、もう少し視野を広げることができると就職の幅も広がって良いですね。

     

    それでは、次の質問に移らせていただきます。御社の社風はどのような感じですか?

    古谷
    風通しの良さを大切にしている印象を受けます。

    横の関係性は問題ない企業がほとんどだと思いますが、縦のつながりに関しては問題を抱えている企業は少なくないと思います。

    弊社では、定期的に年齢を超えた意見交換会が開かれており、思っていることを共有することができるため、縦の関係で困ったことありません

    今後もこのような点について問題に感じることはないと思います。

    4. 医薬品業界の課題・将来性は?

    白衣
    業界の課題や将来性についてどのように思われていますか?

    古谷
    医療費削減などはわたしたちの業界に大きなダメージを与えていると思います。

    また、そのような背景もあるので、多くの製薬企業がリストラを図っていることも理解しています。

    ただ、創薬研究は今後も倫理的にもなくてはならない仕事です。

    この仕事がたとえば人工知能によってなくなってしまったり、利益が出ないからなくなってしまったりしたら、新しいウイルスの登場によって人類の生存が脅かされるようなこともあると思います。

    なので、今後もなくならないという自信があります。

    白衣
    小野薬品が迫られた厳しい薬価改定は記憶に新しく、医療費カットは確実に製薬業界を厳しくしていますよね。でも、この業界自体がなくなることは私も無いと考えています。

    5. 福利厚生は? 産休・育休は??

    白衣
    古谷さんは御社の福利厚生制度に満足していますか?
    また産休・育休は取れる環境ですか?

    古谷
    福利厚生に関しては満足しています。社員であれば利用できる保養所も全国にたくさんあるので、長期休暇に良く利用しています。

    また、産休・育休制度もしっかり整備されているので、利用できる環境にあると思います。

    しかし、女性社員が少ないこともあり、利用している実績としては少ないかもしれません。

    ただ、わたしが知っている女性の同期は問題なく産休・育休を取得することができ、その後も問題なく研究活動に復帰しています。

    6. 博士号は必要? 修士で十分??

    白衣
    それでは最後の質問です。これからの製薬企業研究職の就活において、博士は必要とお考えですか?

    古谷
    わたしが就職活動をしていたころは修士でした。わたしの場合は製薬企業に行くことができましたが、製薬企業に絶対に行きたいというモチベーションがあるのであれば、博士は持っておいた方が良いと思います。

    というのもわたしのまわりは博士ばかりで、博士であることがスタンダードな職場となっています。修士のわたしはなかなか肩身の狭い感じがしています。

    チャンスがあれば社会人ドクターとして博士を手に入れたいと考えていますが、なかなかそのようなチャンスがないのが現状です。ただ、機会があれば絶対に物にしたいと考えています。

    白衣
    白衣
    古谷さん、本日はお忙しい中ありがとうございました。以上で、「現場で働く研究者さんインタビュー」の第1弾を終えたいと思います。今後もよろしくお願いします!

    #1 アステラス製薬のまとめ
    • 29歳、勤務年数4年目、年収600-800万円、合成研究
    • 目的化合物を効率的に短期間で合成する方法を立案
    • 研究開発費の観点より、会社としての母体が大きいことは、新薬の研究開発において大きなアドバンテージ
    • 働き方改革に積極的。有給取得は容易
    • 齢を超えた意見交換会が開かれており、風通しが良い社風
    • 産休育休は問題なく取得可能。現場復帰も問題なし。
    • 同僚は博士号取得者ばかり

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