薬と科学

    だから甘いものは別腹なのだ。甘みは快感を引き起こす。

    最近ずっとホットクックのことばかりブログ記事に乗せていたため、たまには本業(研究者)らしいことを書こうと思います(笑)。

    私たちはどのように美味しさを感じているのか?

    私達は、普段どのようにして美味しさを感じているのでしょうか?

    答えとしては、味覚や嗅覚はもちろん、視覚や触覚、更には聴覚までを総動員して、味や香り、色味、形、温度、歯ごたえを五感全てで楽しんでいます。

    これら五感によって受け取った感覚は、大脳皮質の感覚野に伝えられます。

    大脳皮質とは大脳の表面に広がる薄い神経細胞の層で、主に知覚や思考などの中枢となっています。

    感覚野とは文字通り、大脳皮質中の感覚に関与している部分です。

    情報は感覚野に伝えられた後、大脳皮質連合野という部分に集まり、目の前の食べ物が安全かどうか、毒はあるのか無いのかなどを判断します。

    五感から得た食べ物の情報と血糖値などの生理的な情報は、大脳皮質連合野から更に扁桃体へと伝わります。

    扁桃体とは、大脳の内側にある大脳辺縁系の一部で、快・不快などの本能的な感情を司ります。

    扁桃体では過去の情報、即ちこれまで食べた食品の中から類似した性質(甘み、苦味など)の食品の情報を導き出し、その食品が安全であったかをリサーチします。

    リサーチの結果、安全であると分かった場合は、次に扁桃体から視床下部という器官にシグナルが伝達されます。

    視床下部は摂食に関わる情報を発信する器官で、安全なもの(美味しいもの。甘みや旨みなど)を食べると摂食中枢を刺激します。

    一方、危険なもの(腐ったもの。苦味や酸味など)を口にすると、満腹中枢を刺激します。

    従って、甘いものは食欲を増加させ、苦いものは食欲を減退させるということになります。

    このように食事には様々な化学が関与しています。

    現代でこそ、「美味しい」「不味い」はただの感想ですが、一昔前では「安全」「危険」を図る重要な尺度だったのです。

    甘いものは別腹」は科学的に証明されている

    「甘いもの=美味しいもの=摂食中枢を刺激しやすい」 と上記で説明しましたが、近年の研究より、面白いことが明らかとなっています。

    それは、脳が甘いものを感知した時、胃腸の動きに関わらず(満腹度合いに関わらず)、摂食行動が刺激されるというものです。

    詳細に説明します。
    我々が甘いものを口にして甘みを知覚すると、βエンドルフィンやドーパミンといった、多幸感をもたらす作用のある脳内麻薬が分泌されます。

    これらが分泌されるとオレキシンという摂食を刺激する作用のあるホルモンが分泌され、そして摂食が刺激される、といった研究結果です。

    すなわち、満腹度に関係せず、甘いものはいくらでも食べられる(もちろん限度はありますし、個人差もあります)ということです。

    さらに恐ろしいことに、甘いものを実際に口にしなくても、甘いものを刺激するだけで、この情報伝達はなされ、摂食中枢が刺激されるという報告もあります。

    グルメ番組や甘い物が宣伝されるCMなど、甘みを連想させる頻度の高いテレビというものは、ダイエットにとっての大敵なのかもしれませんね。

    「甘いものは別腹」

    昔の人は上手いこと言ったものと感心します。
    古きに学ぶことはたくさんありますね。

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